部活指導研究協会通信

日々、生徒と真剣に向かい合う部活関係者に送ります。部活動が果たすことの出来る役割を最大限に発揮させるための活動を行っています。

3月25日日本部活動学会第1回大会 史上最大の部活会議が盛会のうちに無事を幕を閉じました!

3月25日の日本部活動学会の第1回大会が大盛況のなか幕を閉じました。
まさに史上最大の部活会議だったと思います。

日本の部活動研究の第1人者が勢ぞろいの大会でした。
大会中、最新のデータ、深遠な見識、造詣深い発言等々に満ち溢れていました。

個人的な感想として、
現在の部活動の状態は、言わば生活習慣病におかされた中高年の身体のように思えました。
何も考えずに飲み放題、食べ放題で生活して来て、見た目は普通に生活してる様に見えても、
実は高血圧、糖尿病、痛風、あらゆる成人病におかされ、明日倒れても不思議ではない、部活動もそんな危機的な状況では、、

今回の大会では部活動の一流専門家の皆さんが、有効な処方箋をたくさん示してくれました。
健康を取り戻すための薬が劇薬であれば副作用が心配です。かといって食事療法だけでよいのか、様々な意見がでました。

今後の方針として、引退すべきだという意見、仕事を減らして身の丈に合った生活をすべきという意見、それから、いやいやまだまだ今まで通りやっていけるという意見。
これも様々でした。果たして部活動制度の健全化への道はいかに、、

学習大学の大教室は最後列まで熱気むんむんでした。

 

次号以降、詳しくお伝えします。

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日本部活指導研究協会の代表として、閉会セレモニーで挨拶させて頂きました。

 

 

部活顧問間の横の繋がりの薄さが孤立を生んでいる

 よく考えると部活顧問は、同じ競技内でもそうですが、各種競技を跨いで顧問が集まる機会というのは全国的にない気がします。

 当然ですが、全員顧問制の学校で顧問を集めるイコール職員会議になってしまいますし、かといって各部活の代表が集まるという顧問会議なるものは恐らくどこの学校でもないのでは、、

 例えば校内で各部活から代表顧問が集まるとなると、何となく部活熱心派の集会の様相を呈してしまう可能性もあり、校内融和の観点からは望ましくないといった見えない空気もあります。

 学校内ですらそんな状況なので学校間で、あるいは各競技種目間でとなると顧問が集まって意見交換をするチャンスはなかなか難しいと言えます。

 こうなると部活動の問題については1人で悩まざるを得ないのが現実です。実際、身近な校内でも顧問間の横の繋がりがかなり薄く、特に新人の先生などは孤立してしまいがちになります。

 例えば経験のない競技の部活動の顧問になったとして、その場合、技術のことはもちろんですが、練習試合を組むネットワークなどがあるわけもなく、暗闇のなかでさ迷うような気分を延々と味わうことになるのです。

 教科指導には、目安になる指導要領があります。部活指導にはそれに当たるものがほぼありません。にも拘わらず部活顧問を支える組織が存在しないというのが実態です。

 まずは部活を指導する顧問と外部の指導員を各学校毎に組織化し、年に1度でいいから集まるところから始めてはどうでしょう。そうすれば、各校がその組織化した連絡会議で校内の部活関係者を一堂に集め、各種連絡、注意喚起が出来ます。
 結果的にとりあえず外部の指導員に一対一で個別に対応するという煩わしい事態は解消される気がするとおもうのですが、、
 そして、横の繋がりのきっかけにもなり、情報交換の貴重な場になりうるのではないかと考えます。

 

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そもそも制度のなかで部活が曖昧な位置づけなった歴史について

こんにちは部活指導研究協会通信です。

 としまコミュニティ大学講座「部活顧問の過重負担問題を考える」の報告です。

題して~部活の曖昧な位置づけの歴史~


 日本部活動学会の代表の長沼豊先生の講演会に参加してきました。たくさんの受講者の方がいらしていて、世間の関心の高さを感じました。そんななか、一筋縄ではいかない問題を一緒に考えてきました。


 今までに部活の歴史について書籍、講演等に数々触れてきましたが、今回は長沼先生に部活の歴史を丁寧に解説して頂き、改めて思うことがありました。


 それは昭和44年の必修クラブが登場して、平成元年の学習指導要領でその必修クラブを部活動で代替措置が出来ると規定された辺りのところです。


 つまりこの時に部活動に参加すれば必修クラブを履修したものとみなすと指導要領で規定されたわけですが、このことが後々に余計に部活の存在を曖昧にしてしまった措置だったようなのです。


 なぜなら、教育課程にしっかり定義された必修クラブと、参加してもしなくてもよい教育課程上は実態が明確でない部活を同じ扱いで処理をしたため、現場の先生方の間では必修クラブと部活動の扱いに混乱が生じさせてしまったことは事実です。


 この後、平成10年に中高の必修クラブ活動は廃止になるのですが、残ったのは何だかわからないけどやらなければいけない気がする部活動が残って、現在の学習指導要領のなかで曖昧な存在感のままここまできているということです。


 この部活動の学校教育の歴史のなかの位置づけの変化でも、特に昭和44年の改訂は今の部活の状態に大きな影を落としてしまったと言えます。


 今回の長沼先生の講演会では、この辺の理解が深まったことが大きな収穫でした。

杉並区中学校の保護者会等予算型 民間委託モデル

こんにちは、日本部活指導研究協会通信です。


 現在、部活動の指導は学校の先生だけが顧問というかたちで任されるのではなく、外
部指導員というかたちで学校外の指導者も指導に携わるというかたちがある程度定着し
ています。


 教員の部活に関わる時間が労務管理上の位置づけが問題になるなか、教員の過剰労働
の問題と相まって、部活の指導を教員の仕事から切り離そうという動きがあります。そ
の動きの延長に外部指導員の導入が行われています。
 部活を教員の仕事から切り離した場合に考えられる問題は3つです。
1、部活の教育効果を捨てきれない
2、教員が抜けた後の指導者の人材確保の問題
3、教員の代わりに担当する指導者の報酬確保の問題


 部活指導をしたいがために教員になった先生もおられるほど、部活は学校教育に深く
根差した活動になってしまっています。それと財源の問題、人材確保の問題はなかなか
ハードルの高い問題です。


 ですから、そうそう簡単に地域のスポーツクラブや外部指導員に全てをお任せること
にいかないのが現状なのです。


 先日、部活コーチング派遣事業で全国で実績を上げているスポーツデータバンク株式
会社様を訪問する機会を得て、スタッフの方の意見を伺ってきました。


 スポーツデータバンク株式会社様は、杉並区教育委員会と提携して杉並区内の中学校
の部活に指導者を紹介する活動について時間を掛けて関わってこられたとのことです。


 興味深いのは保護者会等予算型の民間委託モデルというかたちで部活動支援体制を確
立されたというところです。


 プロコーチが公立の学校や公立の運動施設に積極的に関われない大きなネックは何か
。それは公共施設で営業行為が禁止されているということがあるからです。


 この公共施設をプロコーチが利用することについて規制する規則自体は今まで違和感
なく受け入れて来たのですが、よく考えると社会体育の普及の観点から考えるとどうも
合理的でないように思えます。


 杉並区の中学校の問題に戻りましょう。区立中学校の場合も、先ほどの例と同様の言
い方をすれば公立の学校内で営業行為は出来ないということになってしまうわけです。
 杉並区の場合は、先にも触れた保護者会等予算型と言って、予算の出どころは教育委
員会や保護者会からです。大きいのは保護者会が費用を集めて運営に関わったというと
ころでしょう。


 税金を動かすにはそれなりの手続きを踏む必要があり、その場に応じた対応には不向
きな面が障害になってしまうのですが、保護者から集めた私費を活用すれば柔軟な対応
が可能になります。


 私の考えでは、指導者の報酬について税金で賄うというのではなく、現在、中体連、
高体連が生徒会費などの私費を活用して大会運営を行っているのだから、部活指導者の
報酬も何らかのかたちで生徒会費と同様なかたちで徴収した私費を活用できればよいの
ではと思っています。


 スポーツ庁の方針では、今後、民間企業の取り組みと積極的に連携していくようです
。きちんと指導者としてのトレーニングを受けた指導者が各部活動に関われるような仕
組みになれば良いのですが。


 スポーツデータバンク株式会社のような取り組みが今後、市民権を得て大いに活用さ
れる時代になるかも知れません。
 

 

昨年末創設されたこの日本部活動学会が第1回大会 開催します。

日本部活動研究協会は、第1回大会を後援することになりました。

部活問題への発言がメディアで注目されている名古屋大学の内田氏の講演を予定しています。

その他、各方面の専門家をお招きして部活動の未来像を共有したいと思います。奮って参加下さい。
●大会テーマ
「部活動のこれまでとこれから」
●日時
 2018年3月25日(日)10時~17時15分
●場所
 学習院大学 西5号館202教室(※JR山手線「目白駅」徒歩5分)
申し込みは下記まで
https://ssl.kokucheese.com/event/entry/506989/

 

日本のスポーツは部活によって支えられています。
各方面の専門家が集結し部活動の未来像を共有します。

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日本部活動学会設立総会の報告・日本部活動学会会員申込みについて

こんにちは、部活指導通信です。


日本部活動学会の設立総会が名古屋で開催されました。
https://jaseca2017.jimdo.com/


 発起人の1人として参加して参りました。

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前半の総会では司会の役を仰せつかり、後半の研究集会ではリレートークの一員として部活改革構想をスピーチして来ました。
会場は超満員で特設席を設置するほどの盛況で、更にテレビ局2社、新聞社8社の取材も入り、社会の感心の高さを実感しました。


総会のなかで学会の理事の承認も頂きましたので、日本部活指導研究協会と日本部活動学会の連携をはかりながら、これからも部活制度の健全化に向けて活動して参ります。

 

◎日本部活動学会への入会申し込み
 設立総会の際に学会への入会申し込みの受け付けを行いましたが、当初想定をしていた100人を遥かに超える方の申し込みを頂きました。
部活動学会への研究内容に興味がある方は入会申し込みはこちらです。
https://jaseca2017.jimdo.com/入会申込/

 

部活研主催「不可能を可能にしたチーム力の作り方」指導者講習会の報告

こんにちは、部活指導通信です。

 

11月26日の部活研主催の指導者講習会の報告をします。

 先月末、予定通り指導者講習会を開催致しました。
 多くの先生方、部活関係者の方々、そして生徒の参加もあり会場はたいへん盛り上がりました。
 まずは慶應高校テニス監督、松永さんの講演「慶応高校テニス部の不可能を可能にしたチーム力の作り方」から始まりました。
 内容としては慶応高校テニス部の取り組んだ5項目について紹介して頂きました。
以下、講演の概略です。

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1、ルーティーンワークを決めて、やる気のスイッチを入れる。
・慶応高校テニス部が実際に行っているルーティーンワークに使われている集中力カードをスクリーンに映し、20秒間見つめてもらう実験をした。
・結果は集中力テストのビデオが使われ、集中力カードの効果を体感。
(このビデオがなかなか興味深く、会場が一気に和みいい雰囲気になりました)

2、「公智を養う」世の中には絶対的なものはない。
・「公智とは、物事にはそれぞれ良い面と悪い面がある。物事の中からより大切なものを選ぶという考え方」
・モンティーホール問題で、正解を得るための確率を検証して、少しでもより良いと思う選択を重ねることの意味を実感した。
・勝ったか負けたかだけではなく、正しい判断をし続けることが勝ったか負けたかより正しい判断をしたかどうか、正しい判断をし続けると自ずと勝つ確率を上げることになる。

3、「ポジティブな表現を心がける」
・セリングマンの水泳選手実験を紹介。ある水泳選手のグループを心理テストで楽観的な考えのグループと悲観的な考えのグループに分け、タイムを計測する実験。被験者には実際よりも遅いタイムが伝えられ、その後のタイムの変化を検証した。すると楽観的な考えのグループのタイムが伸び、悲観的な考えのグループのタイムは落ちたとのこと。
・この実験を紹介によって発言、行動、視線、表現などに気をつけることが、自分も仲間も心地よい状態を作り出せると実感する。

4、ひとつの行動が全体のイメージを作る。
・「応援されるチーム作り」を全員が意識することが、さらにより良い結果を生み出す。
・細かな一人一人の行動が、チームのイメージを作り、結果として活動しやすい環境を作ることになる。どんなことをしたら良いイメージをもってもあえるか話し合いをした。

5、「練習は不可能を可能にする」
・心も筋肉の様に練習によって鍛えられる。
・忍耐力などの非認知能力を養うことは、将来的な成功に役だつ。
・マシュマロ理論について説明があり、忍耐力を身に付けた者がその後を追跡調査した結果それぞれの進路で成功している者が多いという実験結果を紹介した。

 

 参加者の皆さんは部活内のチーム力を上げるために何をすればいいのか悩んでいる顧問の先生、生徒が多かったと思います。

 チーム力を上げるためのヒントをたくさん得られたのではないでしょうか。1つ言えることは、ただ強制するだけではチーム力は上がらないということだったと思います。

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 これからも部活研は、部活制度の健全化のために具体的に行動します。