働き方改革という政策スローガンによって、教育現場の労働実態が昨今クローズアップされています。
なかでも部活動に対する過剰労働の実態にも注目が集まり各方面で議論がなされるようになりました。
この部活動についての過剰労働の問題が、学校関係者以外に知れ渡ることになったことはたいへん重要なことなのですが、実は学校内部でも、この部活顧問の過剰労働問題についてはほとんど議論がなく今日まできているという実情が一方ではあります。
つまり、多くの教員にとって部活指導は当たり前の業務で、通常業務の延長線上にあるという認識が議論以前の固定観念になっていたということがあります。学習指導要領上でおまけの様な扱いの記載になっていることについては特段の意識はなかったと言えます。
もしかしたら未だに教科指導と同等の教育活動という認識を持っている方もおられるのではないでしょうか。このことはいかに部活動問題について教育現場での話し合いがなされぬまま今日まで来てしまったかということです。
この部活問題の解決への道筋に、教育現場の実態を広く世間に知らしめるということは大切な過程ではあるのですが、同時に当事者である教員への啓蒙と議論の場の設定も必要なことではないかとも思っています。
部活動の制度設計の曖昧さをより多くの教員が知り、改革のために教員自身が関り動きだすことが、より現実的な制度を作り上げることに繋がるのではないでしょうか。
スポーツ庁が専門家を集めてガイドラインを策定しましたが、本来であれば教育現場の声を大規模に集め、実態を正確に把握することから始めるべきだったのでは。
そのために部活動についての根本的なそもそも論からの議論を学校内でもする必要があったのはないでしょうか。
与えられた国からの方針に従うだけのこのままの流れでは、大きな歪みを生んでしまう気がします。