部活指導研究協会通信

日々、生徒と真剣に向かい合う部活関係者に送ります。部活動が果たすことの出来る役割を最大限に発揮させるための活動を行っています。

「やりたくなければやらなければいい」この言葉通りならブラック部活はなかった

 私も教員時代は、部活動大好き教員でした。長期休業中は部活動のためにほぼ毎日出勤し、生徒のやりたいと言う声に100%応えようとしていました。それが自分の教員としての喜びであり、やり甲斐でもありました。

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 現在の部活動の状態は、言わば生活習慣病におかされた中高年の身体と同じ状態です。何も考えずに好きなだけ飲み放題、食べ放題で生活して来て、見た目は普通に生活してる様に見えても、実は高血圧、糖尿病、痛風、あらゆる成人病におかされ、明日倒れても不思議ではない、今の部活動もそんな危機的な状況なのです。

 

 

 昨今、様々な処方箋をたくさん示されています。健康を取り戻すための薬が劇薬であれば副作用が心配です。かといって食事療法だけでよいのか、様々な意見があります。

 例えば引退すべきだという意見、仕事を減らして生活習慣を改善すべきという意見、それから、いやいやまだまだ今まで通りやっていけるという意見。

 

 「私は部活動指導は全然苦じゃありません。」という先生方もたくさんおられます。それでも、本来教材研究の時間を犠牲にしてする業務ではないのです。生徒への影響力の大きさもあって学校現場での部活動の存在感は、教科活動より大きいかも知れません。しかし、あくまでも教科活動が主であることはしっかり押さえておかなければいけないところです。

 

「やりたくなければやらなければいい」

この言葉通りであれば問題はこれほど深刻にはならなかったでしょう。また、学校内に部活動について自由に意見が言えて、話し合える場があれば流れも違ったでしょう。

 

 週7日朝から晩まで、際限なく時間を取られ、「生徒のため」という殺し文句で同調圧力を掛けられ、これが学習指導要領の基準に則っているならまだしも、制度設計が曖昧なまま自発的にやっていることとされて、このままでは部活動で辛い思いをする人の割合が増えるばかりです。

 

 これは生徒も同じです。チームのため、調査書のため、辞めたいのに辞められない。本当にやりたい人が参加する部活動と言えるのか。ルールじゃないやらなければいけないという空気のもと本来やるべき学業を犠牲にして、感動、情熱、そんな言葉にかき消されている疲弊した心の存在が確かにあります。 

 

 H29年のスポーツ庁の中学校教員対象の調査結果では、部活したい44%・部活やりたくない48%、部活動に消極的な先生方の声は小さいですが量は多く、確実に大勢を占める割合になっています。

 

 「やりたい」だけでなく、まず制度改革に積極的に取り組むことが、部活動文化を健全なかたちで持続可能な流れに乗せ、今だけではなく将来に渡ってみんなが笑って参加出来る部活動のためには必要なことだと思います。

 

部活動制度の健全化のために出来ることは何なのか。

部活研の研修会のお知らせです。


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