部活指導研究協会通信

日々、生徒と真剣に向かい合う部活関係者に送ります。部活動が果たすことの出来る役割を最大限に発揮させるための活動を行っています。

第4回部活動のあり方を考え語り合う研究集会 in岩手

第4回部活動のあり方を考え語り合う研究集会 in岩手
「これからの部活動の在り方を考える ~岩手の部活動の現在と未来~」をテーマの盛岡市で開催された研究集会に参加してきました。

岩手県は、部活動について全員加入性が強く推し進められてきた歴史があります。この背景にはいったいどのような要因があるのか、興味深い発表を聞いてきました。

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岩手県体育協会理事長 平藤淳氏の基調講演
岩手県の部活事情と岩手県ガイドラインの主旨などについて話しをお聞きました。

岩手県には通常の部活動に加えて部活動を補完する活動(スポーツ少年団、保護者が主催する活動)があるそうです。そういった状況のなかで岩手県ガイドラインでは、週2日の休養日を設定しています。

今回の平藤氏の岩手県の部活動に関する発表でも、やはり、いくつか教職員の働き方改革を念頭にした取り組みの話があり、持続可能な部活動の検討が継続してなされているという報告がありました。例えば部活動に関わる時間の総量規制で対応し、学校内だけでなく学校外での活動へも配慮をしていく方針が示されていることもその一つです。

この発表で興味深かったのが、岩手県の部活動加入率はほぼ100%なのですが、全員加入という規定はどこにも文言として存在していないという事実、だから規制のしようながないという県側の主張も成り立ってしまうわけです。

では、なぜ全国的に見ても部活加入率が高いという状況を今日まで維持出来たのか、そこが疑問になるところです。部活動に対する県民意識の高さなのか、目に見えない強力な同調圧力が存在するのか、そこの辺りへの言及はありませんでした。

●シンポジウムについてのダイジェスト
・コーディネーター
学習院大学 長沼豊
・パネラー
岩手県中学教員
・初任当初に「教壇に立つだけの教師になるな、部活で一緒に汗を流してこそ、、」という教えを受けた。
・プレー経験のないサッカー部の顧問になり、自分の判断で休養日は必ず入れるようにしてきた。
岩手県中学校全員加入率の99%は、荒れた学校を立て直すための手段だった。
・県教委のスタンスは、全員加入は強制していないというもの。
・真面目な県民性が部活動への熱心な取り組みを支えている
・19時以降はスポーツ少年団の活動になる。
スポーツ少年団の外部コーチのマイナス面としては、顧問が置き去りにされがちだったり、委嘱取り消しがしにくい状況があったりする。

岩手県体育協会理事長 平藤淳
・国際レベルの選手は、部活動というより外部の団体での練習で育成される傾向がある。
・追跡調査では、部活で経験したスポーツが生涯スポーツに繋がっているかは疑問。

宮城県立高校教員
・中体連の仕事は公務と認定されず公務災害にならないこともある。
・在庁時間記録簿は手入力で、教頭への配慮で実際より短く入力する傾向もあった。
・高校入試の出願条件に部活動があると「なぜ指導をしてくれないんですか」という保護者の声になる。
高体連の主体はいったい誰なのかという疑問を持っている。役員、大会運営は教員がやっている。ほぼ学校組織と一体化しているのでは。
・中体連、高体連は負担金は生徒の在籍数にかけて徴収している。受益者負担となっているか、、

●協議のなかでの意見
・部活動を学校のカリキュラムの中心におくべきではないか。
・今後、総合型地域スポーツに移行を段階的に行うべき。
・「僕自身はそんなに負担ではなかったんですよね」という発言が心に刺さる。労基法にある8時間労働に耐え得る体力があるのになぜ仕事して疲弊しきってしまうのか。
・事業継続は予算があってこそ、予算がないなら本来はサービスを停止すべき。なぜ部活動を続けるのか。
ガイドラインの交付後、守る人と守らない人が出るだろう。守っている人が非難されないように願う。
・新規採用先生は3年は部活動顧問にしないという政策提言の実現を目指したい。

 

 

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