部活指導研究協会通信

日々、生徒と真剣に向かい合う部活関係者に送ります。部活動が果たすことの出来る役割を最大限に発揮させるための活動を行っています。

日本部活動指導研究協会メールマガジン「部活研通信5月号」

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一般社団法人 日本部活指導研究協会(略称・部活研) 「部活研通信」 ”部活顧問のための部員の心を変えるとっておきの話" < 31. 5. 10 配信 Vol.42> info@bukatau-japan.com http://bukatsujapan.jimdo.com/

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令和の幕開けです。 生徒もそろそろ新しいクラスの仲間と打ち解けてきたころではないですか。 人間関係の機微を感じるのはこれからですね。 さあ、今回も部活指導関連の情報をお届けします。 生徒をその気にさせ、背中を押すとっておきの話しもあります。 ☆::::::::::::☆ お知らせ ☆::::::::::::☆

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それでは、以下、今回の目次です。

☆::::::::::::☆ 目次 ☆::::::::::::☆

【1】部員の心を変えるとっておきの話

【2】部活News

【3】東京都教育委員会主催・部活動指導員研修会レポート

【4】部活動が教育課程外であることと教員の勤務条件 文責 中屋晋 ☆::::::::::::::::::::::::::::::::::☆

以上をお送りします。

【1】部員の心を変えるとっておきの話 ~練習量を増やせばいいというものではない~ 先日、イチロー選手の引退会見がありましたね。

1時間半の会見のなかで一番印象に残ったところは、ここです。

「最も我慢したものはなんですか」という記者の質問に対する答え。

「僕、我慢出来ない人なんですよ」と前置きした後に 「体をこんなに動かしちゃだめだって、体を動かすことを我慢することはたくさんありました。」 といったくだりです。

 

つまり、練習したくてしょうがない気持ちをセーブすること、我慢したとすれば、そこを我慢したと言っていたのだと思います。 これって指導者の立場から言えば、練習嫌いな人に話すエピソードとしては使えるものではないですね。

 

一般的には、もっともっとやりたいという気持ちを起こさせたいというのが多くの指導者の胸の内だと思います。 ですから意識を切らせないように休みを与えず長時間の練習を課してしまうみたいな流れもあるような気がします。

 

このイチロー選手の話のポイントは、長く野球を続けるためには、オーバーワークにならないように効率的に短時間で練習を完結すべきだというところではないでしょうか。 この場合の「長く」というのは、2、3年の想定ではなく、10年後、20年後、あるいは生涯に渡ってという意味です。

 

盆暮れ以外休みがない部活動の話はよく耳にしますが、長時間の練習、特にただ闇雲に練習して無駄に体力を浪費しまう、そこはイチロー選手は避けたいと思っていたと思います。 そうなると、考えることは短時間の練習で高いパフォーマンスを維持するために何が必要かということになります。

 

どうしていいかわからないから、とりあえず出来ることは全部してしまおうという考え方が、ある意味オーバーワークのもとなのだと思います。 効率的な練習のためには、全体を知り計画を立てること。

 

その手続きのなかで、合理的な仕組みを作る必要があります。 プレーの成長のための要素にセンスとか慣れることとか以外に、もう1つ、知ることの重要さの認識は、これからスポーツでは一層大切になるでしょう。

 

【2】部活News

○部活動などの大会の統廃合 全国都道府県の45%が要請 https://www.kyobun.co.jp/news/20190410_04/ (教育新聞)

○高崎の全中学週2日休養に 実質的に県教委指針沿う https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/128440?amp (上毛新聞)

○週3回たった1時間の「時短部活」の僕らはなぜ、ラグビー全国大会に行けたのか? https://www.businessinsider.jp/post-188864 (BUSINESS INSIDER)

○学校単体から地域連携へ、部活動の新しいかたち https://mainichi.jp/articles/20190318/k00/00m/050/084000c (47NEWS)

新潟明訓の挑戦 部員の丸刈りやめ「長髪奨励」 https://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/201904090000159.html (日刊スポーツ)

 

【3】東京都の指導員研修会のレポート 昨年、文科省より学校現場への部活動指導員の配置の方針とそれに対する予算が示され、今年度から新たな動きが始まっています。 当協会の大津理事が、東京都教育委員会主催の部活動指導員の研修会に参加して来ましたので、以下、レポートになります。

 

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平成31年度 第1回 東京都部活動指導員研修会 参加レポート 都立日野台高校・女子テニス部 部活動指導員 大津信亮 4月16日(火)に開催された、東京都教育委員会主催の部活動指導員研修会に参加しました。

 

この研修に参加する指導員は、運動部、文化部の両方で今年度に東京都内158校に配属されているおよそ550名が対象となっています。年齢層も、20代から70代まで幅広く、部活動指導員への関心の高さを感じました。

 

研修の前半では講義が行われ、その主な内容は ・部活動は教育活動の一環であり、勝利至上主義になるべきではない ・指導員は生徒の主体性をサポートすること ・生徒の安全に十分配慮すること ・体罰はしない でした。

 

これらは部活動と関わっていく上でとても大切なことばかりですが、その中でも「部活動は教育活動の一環である」ことが学習指導要領に明記されており、これが一般的な指導者とは違うので、部活動指導員は教育者として生徒と関わる意識をしっかり持つことが大切だと思いました。

 

研修の後半は参加者が6、7名のグループとなり、それぞれの活動状況や課題などを話し合いました。私のグループメンバーは、定年退職した元教師、週末だけ指導するサラリーマン、私のように週に2、3日練習に参加できる自営業者、などでした。

 

メンバーの部活動への関わり方はそれぞれ異なりますが、全員に共通した課題は、部活動指導員として顧問、生徒、保護者の3者とどのようにコミュニケーションをとっていくか、というものでした。これについては、短い時間内で明確な答えを出すことは出来ませんでしたが、部活動は毎年必ず生徒の3分の1が辞め、新たに入部してきます。

 

また、顧問が変われば部活動の方針が変わる可能性も大きいです。このような状況で3者と良好な関係を維持して行くためには、指導員のコミュニケーションスキルがとても重要になると皆さん感じていました。  

 

部活動指導員は普段他の指導員と話す機会がないので、このような場で様々な指導員と情報交換ができたことはとてもいい経験となりました。

 

今後ますます増えていく部活動指導員については、活動する上での問題点や悩み等がどんどん出てくることが予想されます。それをしっかり活かして、より良い部活動指導につなげていくことで、部活動の様々な問題が解決していくことを期待しています。

 

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【4】部活動が教育課程外であることと教員の勤務条件について

学校教育の教育課程を大きく分けると「教科活動」と「特別活動」に分かれます。ご存じの通り部活動は、このどちらにも属さない「課外活動」です。

つまり、教育課程外であることを前提に、部活動について学習指導要領では「教育課程と関連が図られる様に留意すること」と記されているのです。

 

ではなぜ、現実に教育現場で重要な役割を担っている部活動が、教育課程として認められず教育課程外という位置付けで定義されるのでしょうか。

 

実は昭和40年代に特別活動だった時期もあります。ご存じの通り「必修クラブ」というかたちで実施していた時代です。

 

ところが、その後様々な変遷の末、平成10年に「必修クラブ」は廃止され、学習指導要領のなかでの部活動についての記述は少なくなっていきます。それに反比例して部活動の活動の枠は広がりを見せ、学校教育のなかでの存在感を大きくしてきました。

 

部活動が教育課程における特別活動として規定されない理由にはいくつかありますが、その1つに教員の勤務時間の問題があります。

 

例えば、特別活動には、文化祭、体育祭、修学旅行等がありますが、教員がこれらの指導に当たる時、勤務時間外において長時間もしくは、宿泊に及んでしまう場合、その超過分は特給法等に定められた特別手当か代休(振替休日)で補填されます。

 

しかし、現状の肥大化してしまった部活動についても同等の勤務規定を当てはめると、特に土日勤務、及び宿泊を伴った勤務に対しての膨大な代休の請求によって、正常な勤務体制の維持が出来なくなってしまいます。

 

こういった状況を考えると部活動を学習指導要領のなかで教育課程として位置付けることが出来ない事情が見えてきます。 つまり、今の規模の部活動を維持、存続するしようとすると教員の勤務条件との整合性が取れなくなってしまうのが現状なのです。

 

その結果、部活動は教育課程外に位置付けられ、オプションとして扱わざるを得ないのです。 これは、例えるなら自動車を購入して、タイヤをオプションにされているようなものです。そもそもオプションがないと走れないといった状況に近いのではないか。

 

今後、部活動を標準装備にするのか、別会社で別売にするのか、展開が注目されます。  今回もご高覧ありがとうございました。  部活研はこれからも具体的に行動します。

 

 

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