部活指導研究協会通信

日々、生徒と真剣に向かい合う部活関係者に送ります。部活動が果たすことの出来る役割を最大限に発揮させるための活動を行っています。

「自分だけが行動をすると損をする?」

~自分だけが行動をすると損をする~
人は誰しも、基本的に自分が得をしたいと思って行動します。なかなか自分を犠牲にして行動するということは難しいことだ思います。

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部活動でも部内の人間関係がこじれたり、思うような活動の結果が出なかったりした時、雰囲気が悪くなり、それぞれ自分勝手な方向に気持ちが向かいがちになります。

こんな状況になった時、活動は停滞、あるいは最悪の場合は解散という事態になりかねません。

この様に活動が停滞した場合、誰か1人が頑張って熱心に活動しても組織としての機能を改善することになかなか繋がりません。

なぜなら、他の部員の意識の底には、黙ってじっとしている方が得だという思いがあるからです。だから、敢えて行動して、責任を負ったり、目立ったりするようなことはしません。

この場合、どうすればいいのか。方法は2つです。

1つ目は、リーダーシップによって解決する方法です。
具体的には、ある程度発信力のある人に、全体の利益の合計を考えて行動した方が、実は得なのだとアナウンスしてもらうという方法。

つまり、行動を起こした方が損だという意識の広がりで活動が停滞するより、全員で何かを作り上げたり、成し遂げたりすることによるメリットの方が、結果的には全員が得することになるということをリーダー的存在の人に伝えてもらうわけです。

2つ目は、部員同士で小グループを作り、上記の意図を出来るだけ共有して、徐々に部内の雰囲気や意識を変えて仲間を増やしていくという方法です。

いずれにしても、自分たちの部活動全体のパフォーマンスを考えたうえで、本当は何が損なのか得なのかを考えて、全体の利益の大きさに気づかせることが大事なことになります。

ポイントは、何のアナウンスもなく、単独で頑張ってしまわないこと。その場合、他の部員は、敢えてリスクを負いたくない意識が余計に働いてしまい、単独で頑張っている人だけが損をすることになってしまいます。

問題は、この辺の仕組みをリーダーとなると人、もしくは小グループで伝えていけるかどうかなのです。

みんながやらないなら自分もやらないという状況に組織全体が陥り、自分だけが行動して損をするくらいなら行動を起こさないという判断が支配する状況を経済学では、ナッシュ均衡といいます。

ナッシュ均衡に陥った場合、個々の勝手な利得を目指すだけではなく、全体を見渡して判断をすることで最適な解に近づくことが出来ます。

また、停滞とは逆に組織内に熱が帯びすぎて、止めるに止められない状況も、ナッシュ均衡なのですが、例えば加熱し過ぎた部活動などはそれに該当します。

止めようと言い出せない、言い出すと立場がなくなり自身に不利益が生じると感じてることは意外と多いです。

その場合も、本当に全体が得するためにはどうしたら良いかを考えてみたらいいのかも知れません。

もしかしたら、働いている割には、生産性が上がらない日本は、実はナッシュ均衡にはまっているかも知れませんね。

 

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