部活指導研究協会通信

日々、生徒と真剣に向かい合う部活関係者に送ります。部活動が果たすことの出来る役割を最大限に発揮させるための活動を行っています。

部活動指導員の人件費確保の問題について

~制度としてインセンティブな勤務手当てを設定することも難しい状況~

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平成30年度の文部科学省の部活動指導員配置促進事業、部活動指導員配置人数約7,100人に対する予算請求額は15億円で、この15億円のなかから部活動指導員の指導料の3分の1を補助に充当するとしています。

仮に15億円を全額約7,100人の部活動指導員の指導料に充てたとします。すると、部活動指導員の指導料として年間約20万円弱、月額約18,000円です。この額が指導料の3分の1だとすると部活動指導員の指導料は、月額最大でも約53,000円程度です。現実には、指導時間の上限もあるので月額3万~4万の指導料が現状です。到底生業として、成り立つ金額ではありません。

実は、この人件費確保の問題は、部活動指導員だけでなく同様に部活動指導をしている教員を含めた部活動指導者全体で考える必要があると考えています。同じ時間帯で同様に部活動指導をしている部活動指導員は、指導料が発生し、かたや教員については勤務時間外の部活動指導業務に該当する手当てが規定されていません。

例えば、課外活動という位置づけの部活動が、勤務時間外まであり、いわゆる「超勤4項目」以外の教員の自発的勤務のなかで指導されている現状があります。この現状を考えると、制度として勤務時間の問題と、特に勤務手当ての問題は出口の見えない大きな問題に直面することになります。従って教員の給与体系から部活動指導に関する手当ては、切り離して考えざるを得ないのです。

部活動指導の実情は、言わば自発的活動への自発的勤務による指導です。つまり、ある意味自然発生的な業務であり、行政の監督下に位置付けること自体が馴染まないのではないか。もちろん、制度としてインセンティブな勤務手当てを設定することも難しい状況にあります。このような点が公立学校の業務として部活動を位置付けることの難しさと考えられます。

全国の配置された部活動指導員の指導料を調べてみると、1時間当たり1.500円から2,000円程度で、2,000円以上の学校は少数になっています。公的な財源からの計上には限界があります。ここが大きな課題と言えるでしょう。

 

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