部活指導研究協会通信

日々、生徒と真剣に向かい合う部活関係者に送ります。部活動が果たすことの出来る役割を最大限に発揮させるための活動を行っています。

日本部活動学会第5回研究集会「主権者教育と部活動の関係を探る」ダイジェスト

昨年12月10日に山梨英和高校にて、日本部活動学会第5回研究集会が開催されました。
担当理事として参加しましたので、以下、シンポジウムの内容の一部を抜粋しダイジェストとして、ご紹介します。

◆堀江実行委員長より
自治シチズンシップを地域部活動にどう根付かせるのかについて、議論を深めたいと思う。

日本教育実践研究所 長沼豊代表より基調報告
シチズンシップ教育とは、参加型民主主義社会を支える市民を育てる教育である。
・部活動に関わる生徒、教師、学校、地域の4者の視点から部活動改革マップを作成した。
・「社会的道徳的責任」、「社会参画」、「政治的リテラシイー」、「アイデンティティと多様性」の4つの要素を念頭にシティズンシップ教育から見た部活動について考えた。
・地域部活動の実践への示唆としては、「市民性を作る」、「生徒主体で考える」、「特別活動の知見を生かす」を考えている。
・部活動の地域移行について、そのまま移行できないということ、地域移行ではなく地域展開であるということ、各主体間の関係の熟議が必要であるということがポイント。
・地域移行は、部活動の無駄なところをそぎ落とすチャンスでもある。
・本来、部活動はどうあるべきかを考え、未来を描く視点が必要。
・部活動には生徒のシティズンシップを育む機会が多く内在していると同時に、それを阻む機会もたくさんある。

◆シンポジウム

**<<パネラー>>********************
長沼 豊(日本教育実践研究所)
林 直哉 (長野県松本深志高等学校 教諭)
平野和弘(駿河台大学/一般社団法人Moonlight Project)
齊藤 勇(NPO 法人日本地域部活動文化部推進本部)
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長沼:政治リテラシー、特にお金の問題との向き合い方について、どう考えるか。
平野:お金を通じて人との関わり方を学ぶことが大切。
:予算を考えない自治はありえない。活動を予算という言葉に変換して話し合ってはどうか。
斉藤:主体者である自覚をもって予算を使うということがポイント。

長沼:お金の管理、決め方。透明性を担保することは大切だが、問題が起きた時に、どう対処するか生徒自身に考えさせることも大切と考えている。
平野:実際は、基金など大きなお金がある実態はある。
:お金が足りなくなった事件があり、連絡のやりとりを追跡して徹底的に調べた。教員のミスについては、率直に生徒に謝罪をした。決着のつけ方まで教育だと考える。

長沼:部活動は前提として、主体性や自発性から始まることを考えると主権者教育は余計に必要ではないか。
平野:教師側からは、部活動を活用できれば、自治の力を育てる点を考えると、やりやすい活動形態と考える。
:基本的に、部活動と正課をひっくり返せばいいと考えている。民主教育の原点が部活動にあると思っている。シチズンシップ教育は、本来、生課でやるべきでは。
斉藤:自分たちでやったということが大事。シチズンシップ教育は、総合的な時間と親和性が高いと思う。

長沼シチズンシップ教育を同じ課題で、学校でも地域でも、生徒が主体になって運営するかたちを目指すべき。外部の指導員にはハードルが高いかも知れないが、教員がどうバトンを作るかが課題。
平野:地域移行によって、生徒主体という視点を持たない指導者も出てくる。可視化、共有、参加が大事。地域に移行しても、自治は教師が教えるしかない。部活通信を作るとか。教師しかできないことを働きかけることはできる。
:教員の数を増やすことに尽きる。それでできるだけ対応する。
斉藤:新しい価値を見出すという方向性で取り組むしかない。そして、自分たちで決める妥当性を決める基準はどう考えるのか
:見ざる手があって、自分たちでやったと思わせることも大切。不完全を許さないと自治活動は前に進まない。深い関係性があったとき、強く指導するときもある、ハラスメントも問題で壁になっている。