部活指導研究協会通信

日々、生徒と真剣に向かい合う部活関係者に送ります。部活動が果たすことの出来る役割を最大限に発揮させるための活動を行っています。

部活動の問題を5つに整理すると

2014年3月から具体的に部活動の問題に取り組みを始め、部活動の関係機関との意見交換、研究会への参加、更に当協会主催の研修会で行われたシンポジウム等の貴重な情報収集の機会を重ねてきました。

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ここで部活動の問題を5つに整理してみました。

1、教員の働き方に関わる問題
2、生徒の参加強制に関わる問題
3、学校推薦に関わる問題
4、教育課程に関わる問題
5、スポーツ指導に関わる問題

 

1、教員の働き方に関わる問題
 教員の勤務時間や精神疾患の患者数についての調査からも明らかなように、長時間勤務の状態が現実問題として過剰な負担となって、様々な場面に影響を及ぼしています。
この長時間勤務の中身を分析すると部活動への指導時間が多くを占めていることがわかります。部活動指導のための土日勤務、時間外指導の問題は、今まで当たり前とされてきたことです。
 教員は本来は教科指導に力を注ぐべきなのに、部活動指導に時間を割かれ、十分な教科指導の準備も出来ない状態になっています。
 残業代もない教員が時間外で部活動を指導していることが当たり前のように行われ黙認されてきたのです。

 

2、生徒の参加強制に関わる問題
 部活動への参加について全員参加という規定はどこにもありません。
ただ昭和40年代に「必修クラブ」というかたちで全員参加のかたちをとった時期があったため、その後変遷の末、平成10年に「必修クラブ」は廃止されたものの、全員参加の空気が根強く残っているわけです。
 自主的、自発的な活動と謳われているのですが、本分である教科学習への時間を犠牲にして、休日もなく、連日長時間の練習を強いられる現状があります。
 背景には、進路にとって重要な資料とされる調査書の記載内容への影響を示唆しながら、生徒のやる気や意志に基づくものではない参加が強いられています。

 

3、学校推薦に関わる問題
 学校教育における部活動の存在感は、教科活動以上のものがあり、教科活動同等もしくはそれ以上に進路先では重点を置いて評価をしている場合があります。
 進路に関わる調査書のなかでは、部活動の全国大会等の活動履歴は大きな評価ポイントであり、推薦基準として決定的な判断に繋がることは珍しくありません。
 部活動の参加の如何が調査書の記述に影響があるという曖昧な根拠による圧力が、同調圧力を生み、参加することにノーと言えない空気を校内に作ってしまっています。
 イジメやパワハラに耐え部活動を続ける背景には、進路に関わる調査書の部活動の記録が大きなネックになっているケースは少なくありません。


4、教育課程に関わる問題
 学校の活動を大きく分けると、教科活動と特別活動に分けられます。
 教科活動は、国語、英語、理科等々のいわゆる教室等で授業として行われているもの。特別活動とは、文化祭、体育祭、修学旅行等の一般的に授業と言われる活動以外のもの。
 学習指導要領では、部活動は教科活動でも特別活動でもありません。課外活動になります。
 立ち位置としては、”教育課程に関連付けて行うべき活動”という表現にとどまっています。
 問題は、学習指導要領には課外活動の扱いで指導の基準となる記述はほとんどないにもかかわらず、学校教育なかで大きなウェートを占める教育活動になっているということです。
 制度設計が曖昧なので、最近までほぼ無制限に活動が出来る状況にあったとも言えます。


5、スポーツ指導に関わる問題
 部活動の多くは運動部活動になるので、スポーツ指導との関連で議論になることが多くなるのですが、文化部の指導についても同様のことが言えます。
 部活動の顧問を引き受け、実際に技術指導までする教員でも、スポーツ指導者のトレーニングを受けた経験がない方もいます。
 昨今、巷で報道され話題になる体罰、暴言、パワハラ等の問題行動は、スポーツ指導者としての認識不足が原因と言えるでしょう。
 養成の仕組みも出来ていないのに、なかには門外漢の教員に技術指導を強制するケースもあり、社会のスポーツ指導者育成のシステムとの連携も必要な時期にきていると思います。
 専門の知識を持ったスポーツ指導者が指導に当たることが、生徒の安全を守り、やる気や才能を伸ばすことに繋がるのです。

 

これら5つの問題を解決するためには、2つの大きな壁があると言われています。

それは、1つは人材の壁です。部活動指導で今まで教員が担ってきた部分を誰かが替わってするならば、その人材をどのように確保するか。
ここには、新しい指導者配置システムが必要でしょう。

 

もう1つは予算の壁です。部活動の指導を教員がするにしても、外部の指導者がするにしても、それに対する報酬を新たにどう捻出し、確保するか。
ここには、指導報酬を各方面から独自に集め配分する新しい組織を考えてはどうでしょう。

 

部活研は、具体的に行動します。

 

10月に部活動指導者研修会を実施します。参加者募集中です。

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