部活指導研究協会通信

日々、生徒と真剣に向かい合う部活関係者に送ります。部活動が果たすことの出来る役割を最大限に発揮させるための活動を行っています。

スポーツ庁への運動部活動の地域移行に関する検討会議提言へ15の疑問と要望(その3)

スポーツ庁の提言へ疑問と要望<3>
提言画像のなかの囲み①~⑤の箇所についてです。

検討会議提言の概要(各論2)
①「全国大会の開催回数」が問題ではなく、全国大会を行うことの是非では?トーナメント方式(ノックアウト方式)に問題があるのでは?
②大会運営を団体職員だけで運営できるのか?教員が大会運営の主体になっている勤務実態を検証すべきではないか?
③部活動に特化した基金の設置を国として積極的に支援して欲しい。
④「地域のスポーツ団体と連携・協議」は、特別活動の一環なのか、教科活動の一環なのか。教員の主たる業務は、教科学習であり、教育課程外の活動への規定をまず明確化してからではないか?
⑤教員の採用で部活動の実績を評価をしなくなると言うことなのか?

 

今後の進展に期待します。


#部活動地域移行 #運動部活動の地域移行に関する検討会議提言
#部活動改革 #部活動指導員

スポーツ庁への運動部活動の地域移行に関する検討会議提言へ15の疑問と要望(その2)

スポーツ庁の提言へ疑問と要望<2>
提言画像のなかの囲み①~⑤の箇所についてです。


検討会議提言の概要(各論1)
①「多様なスポーツ団体等」とは、実施の取りまとめの主体は、いったい誰なのか?
②協議会の構成メンバーの範囲が広すぎて責任の所在が不明確にならないか?
高体連、中体連は、大会運営で手一杯だが、指導者の資格認定、研修会実施までする余力があるのか?
④「適切な対価の支払い」のための予算規模の試算はどれくらいを想定しているのか?
⑤まずは、学習指導要領で部活動の位置づけを明確にしてからでないと実現しないと思う。自主的自発的な活動を行政が管理することができるのか?
#部活動地域移行 #運動部活動の地域移行に関する検討会議提言
#部活動改革 #部活動指導員

スポーツ庁への運動部活動の地域移行に関する検討会議提言へ15の疑問と要望(その1)

 

スポーツ庁の提言へ疑問と要望<1>
提言画像のなかの囲み①~⑤についてです。

①公立中学校の運動部活動以外は、いつ、どう対応するのか?私立は?高校は?
②概要とは言え、一番大事な予算が「多様な財源確保」という程度の表現でいいのか。具体的にどれくらいの規模をどう予算を確保するのか?
③どういう種類の資格にするのか?業務独占資格か?
④自主的自発的な活動という大前提のもとでは、学習指導要領で部活動の規定を定めるのは難しい。結局、限定的で実態に合わないものになるのでは?
⑤高校については、「各学校の実情に応じて改善に取り組むことが望ましい」とあるが、今までと何が違うのか?


今後の進展に期待します。


#部活動地域移行 #運動部活動の地域移行に関する検討会議提言
#部活動改革 #部活動指導員

部活動の地域移行のアイデアとして、部活動指導者(教員と外部指導者)が組織としてまとまって「部活動」を運営することの可能性は、

3月5日のシンポジウム「怒らない部活指導を考える」の冒頭、
~部活動指導者(教員と外部指導者)が組織としてまとまって「部活動」を運営することは可能なのか~
について話をしてみました。
部活動改革のなかで、複合的に錯綜した問題を解決するためには、それぞれのセクションの小手先の改良ではなく、大きな仕組みのなかに主軸となる新たな機能を加える必要があるのでは、
その仕組みの中心に、今までにないゲームチェンジャーとなり得る組織を置くことで、何か出来るようになるのでは、
新しい発想のきっかけになれば、参考までに

「怒らない部活指導を考える」シンポでわかったこと

3月5日、長沼先生と益子直美さんをお招きしてのシンポジウム「怒らない部活指導を考える」では、怒る指導について考える良いきっかけになりました。
怒る指導を我慢するのは難しい、だから、、、、
▲指導者に指導スキルがない
 往々にして、指導者が指導スキルがない状態で、生徒に指導をしようとすると「怒鳴る」という方法が、一番手軽で効果があるように思えてしまうのではと感じました。
 つまり、ここをこう直せば良くなるとか、この方法で改善するとか、具体的にアドバイスする方法を知っていたら、それを実行すれば良いのですが、その方法を持ち合わせていないので、怒鳴ったりすることで漠然と反省させる空気を作るしかなくるのでは。
 また、失敗した生徒を怒る指導をしていると、中身はともかく見た目は何となく指導しているように見えて、指導者としての仕事をしている雰囲気になり、自己満足が得られるということになることもあると思います。
 実は、人間にとって人に罰を与える行為はある種の快感を伴う行為なのです。そこに気づく必要もあるかも知れません。

▲崩れた時の立て直しの発想が出来ない
 怒られた方は、もう怒られたくないため、長時間のきつい練習を一生懸命やるのですが、やっている意味や目的を理解していないまま、決められたパターン練習を正確に再現することに徹することになります。
 パターン練習の繰り返しは必要ですが、それをするための必要な技術については、丁寧に教える必要があります。さもなければ、闇雲にたくさん練習をして、偶然出来た感覚だけを頼りにしてしまうので、選手は、崩れた時の立て直しの発想が出来ない状況に陥るのです。
 つまり、怒ることは、危険回避や抑止力に効果はありますが、創造力や発想力への効果はほぼ得られないということです。
 だから、「何でやらないんだよ」とか、「何で出来ないんだよ」と怒られても、何も答えられないわけです。

▲自分のやるべき事を自分では理解してない選手
 もし、仮に日本一になることが究極のゴール、つまり世界を考えないなら、怒る指導でいいのかも知れません。ただ、怒られてネガティブな感情に支配されている時は、学習効果は極端に低くなるという研究結果もあるこ
とから、その選手は、自分のやるべき事を自分では理解してない選手なのではと想像してしまいます。
 怒られて怒られて、世界的なレベルになった選手もいます。だから、怒ることが効果があると主張する人もいます。しかし、実は怒らなければその何倍もの選手が同じレベルまで育った可能性があるということなのです。
 例えば、水を飲ませない指導でチャンピオンを育てたという人がいたとしたら、ちゃんと水分補給していたらもっと大量にチャンピオンが育ってますよということです。

▲怒ることを我慢することに力を注ぐのではなく
 さて、ここまで、怒らない指導の効果を述べてきましたが、いろいろ頭で理解しても、怒らない指導で上手くいくイメージがつかない指導者も多いことでしょう。では、どうしたら良いのでしょうか。
 ポイントは、生徒が失敗した時に怒ることを我慢することに力を注ぐのではなく、怒らずに済むよう日頃から様々な失敗を予測して指導すべきということです。ですから、指導者の予測力がポイントになると考えます。出来るようになるためのお膳立てとか、組み立てが上手くいけば、怒ることは自ずと少なくなるわけです。
 やはり、結局は、指導スキルを磨くに尽きるのではないでしょうか。

 

 

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2021年12月18日開催:日本部活動学会主催第4回研究集会の報告

2021年12月18日開催:日本部活動学会主催第4回研究集会の報告
昨年、2021年12月18日に大阪体育大学におきまして、日本部活動学会主催第4回研究集会が開催されました。
テーマは、
「いま、求められる「部活動」のサポートとは? ―持続可能なマッチングを探る―」
その内容について、「基調報告」と「シンポジウム」のダイジェストにまとめました。

まず、会の冒頭に前会長の長沼豊先生(学習院大学)より、基調報告がありました。

〇長沼豊副会長より基調報告
・現状認識として、総合的に見て、学校外から学校中へのサポートは、教員の負担軽減のため、専門的な指導のためなど、いろいろ意味で意義があると考えている。
・問題は、サポート人材のミスマッチや人材がみつからないということ。
・ミスマッチの要因として、
 1、そもそも部活動そのものが、まだまだ適正化されておらず、 善意で成り立っているなどボランティア依存体質が残っている。
 2、部活動指導に対する契約の概念が乏しい。
(契約をするという発想にシフトしないと解決しない。)
・紀要第4号のアメリカの部活動についての報告は、次の点で興味深かった。
 1、課外活動より教育課程を優先することが前提であり、全員顧問制ではない。
 2,外部指導者は教員免許を持っていることを前提としている。
・外部指導者からの苦情にも耳を傾ける必要がある。
・部活動の最適化のためのポイント3つ。
 1、生徒の自治
 2、生徒・教員の荷重負担の解消
 3、大会・コンクールの根本的な見直し
・これからの展開として、改革は必要だが荒療治は禁物と考えている
・いずれにしても人材サポートシステムを確立する必要がある。
・餅は餅屋であり、やはり、その筋の専門家に任せることが大事。専門外の学校の先生に任せるのはやはり問題である。

続いて、以下のお三方の実践報告があり、その後のシンポジウムに議論を繋がっていきました。
1、民間企業→ ソフトテニス・オンラインスクールの運営にみるマッチングの工夫について、中村鉄太郎氏(株式会社GO代表取締役社長)より20分間の実践報告。
2、運動部→ 運動部活動改革プランの一つとして学生を指導者に養成するシステムを構築したが、その後の運用状況やマッチングを考慮した大阪府泉大津市教育委員会との取組みについて、小林博隆氏(大阪体育大学准教授)や比嘉靖氏(同大学准教授)らによる20分間の実践報告。
3、文化部→ 大阪国際滝井中・高等学校の吹奏楽部における活動課題について、朝倉洋氏(大阪国際学園芸術文化教育センター長)から20分間の実践報告。

 

 

○研究協議シンポジウム
今回のシンポジウムは、神谷拓氏(関西大学)の司会で、パネリストは、実践報告をされた中村鉄太郎氏、小林博隆氏、朝倉洋氏他が登壇されました。

以下、協議のダイジェストです。
司会:神谷拓会長(関西大学

神谷:これから先の部活動指導の形態についてご意見を。
中村;地域スポーツクラブの大会と部活動の大会を合同で開ければと考えている。
小林;大学生との協働スタイルを展開出来れば考えている。
朝倉;現時点では、吹奏楽は地域のスポーツクラブ的な受け皿がないので、学校に対するサポートの充実を考えることしかない。
   
神谷:将来的なコストの問題をどう捉えるか。一つの部活で年100万円かかるという試算もあるが、どう思うか。
中村:スポーツ活動でも文化活動でも講習会にお金を払う文化を作るヒ必要がある。現状でも学習塾には年間100万を普通に払っているのだから。
小林:怪我等の対応として教育委員会で保険加入の手続きをしてもらうことは必要だが、その費用は別として無償でも指導に行きたいという学生はいる。
泉大津市教育委員会:指導報酬と保険の予算計上は厳しい。
朝倉:文科省が予算を計上をするのが基本では。文化部は、学校の施設を利用するしかないので、部員50人規模で年間350万円かかっている。民間では運営は難しい。

神谷:教育の部分についての指導者への取組について。
中村:教育についての理解は外部指導者だけの問題ではない気がする。
朝倉:外部指導者も基本的な学校教育についての理解はあると思う。
小林:授業セミナーを通して学校教育への理解は深めている。

神谷:学生の部活指導者の派遣は、目の届く範囲はどれくらいか。38名で対応としては適正人数か。
小林;今の人数で丁度うまく回っている。あとプラス10名はいける

神谷;学生を学校に送って、そのマッチングがうまく噛み合わないことはあるか。
小林:基本的に教育委員会と学校が採用なので、ミスマッチはない。顔で繋がっているので本音で情報交換ができている。基本的に必要な学生を要望してくれる。
神谷:実は人と人の繋がりがベースになってマッチングがうまくいっているケースが多い現状があるように感じる。
小林:今後、大阪体育大における部活指導者育成の講習の27コンテンツを公開する予定。各自治体の教育委員会とも共有し、将来的には全国展開に広げたい。

神谷:スポーツ、文化活動の部活動の通した横の繋がりを持とうとしているが、実際は取り組みとしては、結果的に地域毎に分断になっている。どう思う。
中村:学校という枠組みを全く無くすという発想も必要では。例えば部活動だけの学校があってもいい。

(フロアから)
大橋;権利負担の問題について。部活動は絶対に子供に必要だからということで、公費負担をそれぞれがするということも考えられる。

長瀬:現場の教員と外部指導員との意識の共有が難しいが。
小林:行政と連携して意識を変えていくしかない。
朝倉:地域に関わりたいという先生は意外と多いのでは。意見交換はできると思う。

森田:人材バンクがあるが、顔が見えない。これを解決する方策はあるのか。
朝倉:人材バンクの拡充は予算を増やすに限る。
小林:システムの中で誰が派遣されてもうまく機能するのが本来だと思う。学生の特性を活かすことがポイントだと思う。
中村:国家資格を視野に資格を考えるしかない。民間の指導者検定という取り組みもある。

<研究集会に参加して>
議論の基本は、合意形成を念頭に知恵を集めるところにあると考えています。この研究集会の議論が具体的な合意形成を至らないとしても、知識の共有は明らかに前進に繋ると感じました。

より良い状況を導くには、知ることをベースに動くことが重要で、閉塞したなかでの判断は一部の幸福感を増幅するだけの役割でしかないと理解しているのですが、その意味で、今回の研究集会は良質な学びの場になったことに満足しました。

 

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「怒らない部活指導を考える」対談イベント<益子直美×長沼豊>

対談イベント<長沼豊×益子直美>について
日時:2022年3月5日 13:30〜17:00
場所:全水道会館(JR水道橋駅から徒歩3分)
イベント形式:対面方式&オンライン参加方式
テーマ「怒らない部活指導を考える」

間違えや思い違いを1人で修正することは難しい。

その時、「怒る」ことによる軌道修正にどれほどの効果があるのか。もしかしたら、感情的、身勝手な指導になっていないか。

単に伝統的な指導法を全否定するだけでは解決しない問題が、そこにある。

生徒自ら考え、本当に生徒の成長のためになる部活指導とは何かを考えます。

トップアスリート(益子直美)の貴重な実体験と研究者(長沼豊)の科学的視点から、新時代に相応しい価値観を持った新しい指導者像に迫ります。

講師:
益子直美
元バレーボール全日本代表選手、日本バレーボール協会理事
2021年一般社団法人 監督が怒ってはいけない大会 と言う名前の会社を設立。「監督が怒ってはいけない益子直美カップ」主催、スポーツキャスター・タレント・講演会活動等、多方面で活躍
・長沼豊
学習院大学文学部教授 2017年日本部活動学会を設立し初代会長に就任。文化庁「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議」で委員・座長を務める。
著書「部活動の不思議を語り合おう」(ひつじ書房

シンポジウムコーディネーター:
朝日新聞スポーツ部記者 中小路徹

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◎対面方式&オンライン参加方式のハイブリッド形式で開催致しますので、会場から遠い地域の方々にもご参加頂けます。お申込みは、会場参加かオンライン参加かを指定してお申込み下さい。
◎お申込みはこちらから
https://bukatsu-japan.com/

◎オンライン参加方式で申し込まれた方には、開催1週間前までにアクセス情報等注意事項の連絡を差し上げます。万が一連絡がない場合は、お手数ですがご一報頂ければと思います。
◎本研修は、部活動認定3科目のなかの「指導分野専門科目」に該当します。

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益子直美 #長沼豊 #部活動