部活指導研究協会通信

日々、生徒と真剣に向かい合う部活関係者に送ります。部活動が果たすことの出来る役割を最大限に発揮させるための活動を行っています。

部活動指導員へのインタビューの協力依頼について

当協会会員の長瀬先生が共同研究プロジェクトに取り組んでいます。たいへん有意義な取り組みなので当協会としても後援しています。
以下、地方自治体に部活指導員の任用を受け、活動されていらっしゃる方へお願いです。
【部活動指導員へのインタビューの協力依頼について】
日本部活動学会の助成を受け、地域指導者への効果的な研修のあり方に関する調査研究を行っています。つきましては、部活動指導員として任用を受け、学校部活動の現場で指導にあたってみえる方を対象に、インタビューをさせていただきたいと考えています。
30分程度のお時間をいただき、これまでに受けたことのある研修や今後に受けてみたい研修などについて、お聞かせいただけたらと考えています。
ご協力いただける方は、連絡をいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
日本部活動学会
共同研究プロジェクトリーダー
江南市立古知野中学校 長瀬基延
jiyan1206@outlook.jp

埼玉県超勤訴訟について雑感

裁判判決は、請求が棄却されたのは残念ですが、給特法の矛盾についての指摘があった点は意義がある判決だった気がします。
1970年代に制定された給特法ですが、教員の勤務管理がおおらかな時代だったという背景もあって、つまり、夏休み冬休み春休みは、文字通り教員にとっても休みだったり、仕事が余裕がある時は、出退勤も割と自由だった時代には、これで良かったのかもしれません。
夏休みに出勤していないのに、給料が支給されているのはおかしいとか、オンブズマンの出勤状況への告発があったり、まあ、当たり前と言えば当たり前の指摘なのですが、おおらかな勤務管理の代わりに日常の激務については、目をつぶっていたという背景もあった気がします。
私は、1985年に都立高校の教員として勤務が始まりましたが、朝7時出勤し、朝練と朝学習の指導、その後授業時間、4時から部活動を6時まで、教材準備と雑務で夜9時~10時ころ退勤というパターンの毎日でした。
激務は激務でしたが、夏休みがあるからという、気持ちに支えられていた気がします。
今は、長期休業中も出勤の義務があり、きっちり在校時間が管理されていて、その割に、勤務時間外は記録も手当ても曖昧というアンバランスな状態で、そこが問題な気がします。

学生団体Teacher Aide主催「 部活動の“地域展開”を考える時間 」ダイジェスト

8月25日にZOOM会議にて 、学生団体Teacher Aide主催によって部活動の“地域展開”を考える時間 」というテーマで公開研究会が開催されました。
 
本研究会は、教員の意識改革・教育を社会の関心ごとに・愛あるコミュニティの想像、この3つをコンセプトを掲げた学生団体Teacher Aideが主催する部活動の問題を考える研究会でした。
 
以下、印象に残った発言をダイジェストとしてまとめました。
 
冒頭、代表のじんぺーさんの挨拶から始まり、続いて登壇者の発表がありました。
学生団体Teacher AideのHP
 
■登壇者発表
●神谷侑樹(茨城部活動問題対策委員会代表)
・ここ10年、部活動問題の記事が増えた。だいたい2010年代前半くらいから体罰の問題、後半から労働問題が加わった印象。
・学校現場で、顧問選択権を追求をしている。なぜなら、労働には対価があり、その要求は権利だから。
・必要なのは抜本的な環境改善で、具体的には思い切った業務削減が必要では。
・今後、「地域部活動」をどうするかが大きなポイントになる。
・学校部活動を担う主体は、そもそも誰なのか。地域に展開しても、結局、学校で担うという結論になるのでは。
・地域展開した場合、人材不足の懸念と双方の連携上の課題がネックになってくる。
・部活動ではなく、地域活動という名前にすべき。
・ある程度、地域の主体性に任せるかたちが将来を見据えた地域移行になる。ひいては、地域の活性化につながる。
 
●長沼豊(学習院大学教授)
・今やっている部活をそのまま移行するという意味に誤解されるので、地域移行ではなく、地域展開という言葉の方が適切だと考える。
・目指すところは、持続可能なかたちで、卒業しても部活を続けられるかたち。在学中の引退はナンセンス。
文科省が2021年9月に発表した内容について、週末だけの規制は現実的ではない。平日はどうするのか。
・スムーズな地域展開のためには、合同部活動と拠点校方式を念頭にすべき。
・自分の学校以外での部活動の場面が増えるので、当初は子供たちに移動に慣れてもらう必要がある。
・部活の目的を改めて設定。今までは、同じ目的に向かっていたが、ゆるい部活動もあったり、本格的な部活動もあったり、同じことを一緒にやりましょうという発想を変えるべき。
 
●八重樫通(矢田部東中学校長)
・「学校文化」という「パンドラの箱」を乗り越えた議論が必要。
・日本の教員は、他国に比べて、年間勤務時間数は多いが、年間授業時間数は少ない。
財務省が言ってること。
(1)日本の教員の持ち授業時数は少ない。部活動を含めた業務の適正化を指摘。
(2)部活動の時間が多いから、そこを改善するべき。
(3)人員を増やす前にやるべきことがある。人を増やすことが答えではない。
・給特法を知っている教員は実は少ない。部活動問題への認識にズレがある。
・学校とは別に、市民団体を立ち上げて、受益者負担で指導を受けている。
・部活動の割合を減らして市民団体による活動を増やした。
・地域のスポーツクラブの協力を得た。
・この部活動の問題は、複線化してアウトソーシングを活用して取り組むべき。例えば、地域部活動、代替活動、学校部活動の3タイプの活動を平行して走らせる。
・どうしても教員の兼業制の活用は、大きな前提となる。
・文化なのか商業サービスなのかという問題は、学校と地域スポーツ企業の関り方の議論になる。
・実は、教員には、部活をやりたいという教員は意外と多い。その事は、踏まえる必要がある。
・実際、教員の仕事の評価基準は、明確でないという特性があるが、一方、部活動は仕事の成果が目に見えるし、ある意味分かりやすい。
・部活動の指導者報酬を税金で賄うのは難しいので、世の中のあぶく銭を活用しようと声をあげている。
 
■パネルディスカッション
◆神谷:地域展開した場合、最終的にどこに責任が行くのかが疑問。学校なのか、自治体なの、地域団体なのか。
 
◆八重樫:法的には、校長が認めなければ部活について止めること、又は少なくすることは出来る。やるやらないの権限は校長にある。まず、現場からボトムアップで、現場を反映した活動で、施策を動かす、その結果、物事を動かすことが出来ると考えている。何かポジティブな動きをしながら世の中を変えることは出来るのでは。
 
◆司会:矢田部東中の取り組みについて、他の学校は?
 
◆八重樫:3校がやっている。あと2校が加わる予定。教育委員会に向けて合意形成をして確実に動いている。
 
◆長沼:出来ることから出来る立場でしていくのが改革の基本スタンス。どんな改革も反対はある。反対の意見をくみ取りながら進めないと、必ず歪みがでる。最終的には、60年で作りあげた仕組み、コンクール、大会の仕組みを変えないと。
 
◆司会:顧問拒否の行動のしわ寄せにどう考えるか?
 
◆神谷:法律的に認められた権利なので、個々の誰が負担するかという問題ではない。しわ寄せにならない環境づくりを県が作るべき。何であの人が、、という話にならないように。
 
◆司会:矢田部東中の取り組みについて、教員や生徒の反応は?
 
◆八重樫:先生方は賛成している。子供たちは8割が充実してると回答、保護者も支持している。結局、部活動改革の向かうべきところは、先生たちのやりがい確保では。
 
◆長沼:部活をやらない宣言は少数です。とは言え、部活の数を減らすことは少子化の流れで避けられない。今は、教員同士が首を絞める仕組にみなっているので、学校だけでなく地域を巻き込んで話を進めるべき。
 
◆司会:兼業についての考えは?
 
◆八重樫:今、現在、兼業届を出している教員は1人。年間数十万円の収入。学校内指導は減らしたが、学校外で指導しているので指導時間数は変わらない。やはり、財源が大変だと思う。受益者負担補助金をどういうかたちで導入するか。
やはり、指導者には指導費を払う必要がある。その前提には保護者の反対もあるかも知れない。方法としては、企業支援も期待できる。いろいろな形で調達する方法はある。しかし、人の確保はもっと大変だと思う。
 
◆司会:問題は多いが、、
 
◆八重樫:しばらくは教員の兼業で人材を賄うしかない。12万の部活をカバーできる指導者を探すのは至難の業。
 
◆神谷:人を集める責任は学校なのか。
 
◆長沼:教育委員会が音頭を取っている場合もある。現状では、学校推薦で教育委員会が認める手続きが多い。
 
◆八重樫:指導者育成の仕組みを作るしかない。筑波大では、企業がスポンサーについてプランを進めている。やはり、大学生では安心できない。やりたい人に適正な対価を払って指導する仕組みは必要です。
 
◆司会:全国的な仕組みが必要では。
 
◆長沼:サッカーなど先進的な取り組みがあるが、競技別の団体が指導者ライセンスを作るべき。それと、全国共通して学校単位での参加資格にこだわると広がらないので、中体連、高体連との話し合いが必要。スポーツの場合、どうしても大会を目指すので。学校部活の大会のかたちを変えること、これこそがたいへんな意識改革。
 
◆司会:最後に一言。
 
◆八重樫:部活動は、文化なのか商業サービスなのかという視点で考えて欲しい。部活が教育でないなら、学習塾が学校でやっていいということになる。
 
◆長沼:私学のモデルを参考にいろいろなゴールを見据えて改革を進めていけば良いと思う。
 

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定時制の部活動から学んだこと ― 部活動が、全ての生徒にとって活躍可能の場になって欲しいという話 ―

 
日本部活指導研究協会を2015年に設立し、部活動指導者の研修会などの開催を続けてきました。活動の原点となった定時制高校の教員時代の話です。

定時制の部活動】
私が現役教員として最後に勤めたのは、2003年池袋という繁華街からほど近くにある公立の商業高校の定時制でした。私にとっては3校目の勤務校でした。残念ながら、18年前に閉校になってしまったので、今はありませんが、いい学校でした。そこの教員として6年間過ごしました。

定時制の部活動は、夜9時までの授業の後から始まり、夜中10時過ぎまでの活動でした。テニス部の顧問をしていたので、ナイターの灯りの下のテニスコートで生徒と一緒に毎晩汗をかいていたことが思い出されます。

生徒は、昼間、働いてる現場の作業着のままの参加でした。ニッカポッカを履きながらラケットを持ってボールを追いかけたり、何というかそれは独特の光景でしたが、皆の笑顔が指導する顧問のやる気の源になっていた事は間違いありません。

【洗礼を受ける】
思えば学校という枠組みに納まりきらないエネルギーを持った生徒ばかりだったので、なかなか指示通りには練習をしてくれず、かと言って放っておくと、想像もしない程の大胆なことを考えて、部活動どころではなくなることがよくありました。

貸し出したラケットを電柱にぶつけて、ラケットを折る競争が始まったり、面白がって夜空に向かってボールを打ち、夜中に雨の様に落ちてくるボールに近隣の家から苦情が来たり。それは、完全に未体験ゾーンでした。

それまで、お行儀のいい生徒ばかりを教えて来たので、正直言って戸惑い方は半端ではなかったです。もちろん、その傍らで地道にコツコツ練習をする生徒もいました。

【興味関心への働きかけ】
この生徒たち皆にスポーツの楽しさ、つまり、技術習得の充実感、挑戦するときめき、目標達成の幸福感、共に悩む仲間と心が通じ合うこと、こんなことを実感させてあげたいと思いながらいろいろな工夫をしました。

目指したのは、強制ではなく、あくまで興味関心から練習に集中してもらう部活動です。そこまで経験した学校では、練習内容について顧問から指示しても、自分たちで考えるよう指示しても、どちらでもうまくやってくれたのですが、ここでは少し違いました。

指示するにしても、考えさせるにしても、面倒だから辞めると言われればお仕舞いです。辞めることによる調査書への影響を考える生徒はほとんどいません。ですから、テニスの魅力を効果的に上手に伝えるスキルは必要でした。

【まずは夢中にさせること】
そんな部活動で、始めたのは、ラケットとボール、そしてテニスコートを使ったごく簡単なゲームと打ち方の練習です。

ネットスポーツというのは、コートに1人上級者が入れば何とかゲームを楽しませることが出来ます。テニスの場合は特に経験者が入らなければ、なかなかゲームは成立しないスポーツでもあり、指導者の役割は大きいスポーツと言えます。

毎日の工夫の甲斐があって、「テニスって、面白れいじゃん」という感想が漏れるようになり、結局、クチコミで近隣の定時制高校の生徒も集まって来るようになって、たくさんの作業着を着た生徒が夜中の部活動に参加するようになり、部として定時制通信制の大会にも挑戦するようにもなりました。

【部活動を考えたこともない生徒たち】
この生徒たちに話を聞いてみると、高校まで文化祭、体育祭、委員会活動などの特別活動に積極的に関わった経験もなく、ましてや部活動など考えたこともないと言います。

その後も練習は、純粋に興味関心をベースにモチベーションに繋げることを狙いながら部活動を出来るだけ多くの生徒に楽しんでもらうように指導していきました。

部活動のためだけに登校する生徒もいたり、日に日にテニスに夢中になる生徒が増えたのですが、一方では、人数が集まると人間関係のトラブルはつきものです。そんな時、集団を引っ張るリーダーと個々の対人関係スキルが必要になりますが、ここでも気づいたことがあります。

【中学と高校の現実的な違い】
これは中学とは大きく違うところなのですが、高校は、多くの場合、受験制度によってある程度学力別に輪切りにされている現実があります。

私の経験上、感じていることですが、学力上位校に中学校でリーダーを経験した生徒が集まる傾向は実態としてあるように思います。

雑な言い方をすれば、半分はリーダー経験者、残り半分はリーダーの経験がなく、リーダーや周りを見て行動して来た、あるいは自分で判断する立場にいないことが居心地がいい生徒たち。

高校までにHR委員、委員会の委員長、班の班長などを経験した生徒が多い学校と、逆に少ない学校では、指導の目標とする基準も自ずと違ってくるのは現実的には仕方のないことではないかと思います。

どうも教育委員会や行政の担当の方々は、進学校の出身の方が多いせいか、どこか偏った意識を感じることがあります。

自主性にこだわるというか、自分たちで考えて動かせたいというか、恐らくそれが出来るのは、全高校の半分くらいで、残りはなかなか難しい状況にあるのが現実だと思います。実際、こんなことは声を大にして言えないので、表面化しにくいことだと思いますが、多くの現場の先生が実感している本音のところだと思います。

【部活動指導で厄介なのは人間関係】
ここまで進学校から困難校まで、様々な高校の部活動を指導してきましたが、部が直面する課題を生徒同士の話し合いによって解決出来る学校ばかりではありませんでした。むしろ、人間関係のもつれで空中分解するケースの方が多い気がします。

現場の先生の本音を言えば、部活動指導で1番厄介なのは、人間関係の交通整理だったりします。

対人関係のなかでの自分の置き方が上手くない生徒は、感情的な解決の方法を選んでしまいます。特に、いろいろな事情があって、ここまでグループのリーダーをした経験のない生徒たちは、その傾向があります。

技術的なアドバイスから安全管理までの知識はもちろん必要ですが、部員の悩みに総合的に包括して、相談に乗ることは一層重要なことだと認識しています。

【教科活動にない部活動の意義を維持するために】
恐らく、この生徒たちは、この部活動がなかったら、一生、テニスに触れることもなく、もしかしたらスポーツに関るチャンスもなく過ごすことになっていたかも、などと思ったりします。私の今の部活動問題への取り組みは、この定時制高校のテニス部の指導が1つの大きなきっかけになっています。
 
つまり、出来るだけ多くの生徒にスポーツや芸術の面白さを正しく経験をさせる場として、部活動を活用したい、そのために教員のなかでやりたいと思っている教員と外部の正しい知識を持った指導者に部活動の指導者として活躍する制度を作る必要があると考えました。

より多くの部活動指導者に適切な研修の機会を増やすことが、スポーツや芸術活動への道筋を作る有効な手立てである部活動を、より健全なかたちで継続することに繋がると考えています。

そして、教科活動で力を発揮出来なかった生徒の活躍の場と機会を部活動というステージを活用し、人生を豊かに送るための基盤になる経験を誰もが実現可能な新しい制度を作りたいと思っています。

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長沼科研第3回公開研究会に参加して

7月25日(日)にZOOM会議にて 「持続可能な部活動のあり方を考える2 ~研究と実践の今までとこれから~」というテーマで公開研究会が開催されました。

本研究会は、学習院大学の長沼先生を中心に行われている研究活動で、2年間に渡る研究の成果を発表する第3回目の会です。
以下、印象に残った報告を取り上げます。

冒頭、長沼先生の挨拶で、今後の部活動のあり方を探るために、17校の部活動の実地調査をしてきたことと、それに対する総合的な分析と考察をする段階にあるとの報告がありました。

訪問17校の階層別クラスターポイントによる分析(明治大学 林幸克教授)
訪問校でのインタビュー調査から見えた持続可能な部活動を実現するためのポイントを整理
1,技術的指導者の確保・配置
・教員の異動や人材に左右されない体制を確保をする必要がある。
・安全性の確保のため。
・生徒の興味、関心に応え、モチベーションを維持する。
2,教育課程との関連の明確化
・曖昧な制度設計の建付けを改善する。
・教員の負担を明確化する。
・保護者への理解を深める。
3,生徒にとっての部活動の最適化
・卒業後も含め部活動に対して継続的な関りが持てる体制を確立。
・主体性を育むという教育的な意義を持たせる。
・外部指導員の利用などで指導の効率化を図る。


現行小学校のクラブ活動のかたちに部活動改革の大きなヒントがあると長沼先生の紹介から、小学校のクラブ活動の報告。
■八王子市立浅川小学校の清水弘美校長より
小学校の特別活動の一環にクラブ活動がある。このクラブ活動の経験を得て、子供が中学校で、例え不登校でも部活動だけは参加するという学校との繋がりを維持する大きな役割を果たしている。
人間関係の難しさはあるが、クラブ活動はキャリア教育としても重要な役割を果たしていると感じている。例えば、異年齢の仲間との交流はどこかで経験をする必要があるし、日常的に何かを自分で考えて行動する自主性を育むには、クラブ活動の自治活動は、非常に重要である。
1,クラブ活動の持続可能な活動とは
・クラブを作る
・クラブを実施する
・クラブの成果発表
2,クラブ活動の持続可能な活動のために必要な要素とは
・意思決定については自発性を重視する・・教師の負担軽減
・活動の合意形成を作る過程があると楽しいと思える・・・続けられる
3,部活動が目的とる3つの視点
自己実現、・社会参画 ・人間関係形成

以上のような観点から、「生徒自身がやりたいと思えるクラブ活動」の環境を整えることを心掛けている。

続いて、中学校の現場の声を参考に議論を深めた。
つくば市立谷田部東中学校の八重樫通校長より
持続可能な部活動というテーマで、欠かすことの出来ない点は、より現場での問題をどう考えるかである。

例えば、現場では、部活動問題イコール労働問題の視点に必ず結びついていく。実際、すでに学校の部活動は破綻しているとも言える。

担当する教員は、朝6時過ぎに来て部活動の準備をし、夜も遅くまで生徒、保護者との対応に追われており、この部活動を学校単位でやっている限り、問題解決はないと考える。

ここまでの各地域の実践は、もがき苦しみながらの実践になっているが、ローカルモデルでしかない。まず、部活動に何を求めているのか、学習指導要領にきちんと示してほしいと考える。

学校経営の視点から問題を考えた。
・部活動の複線化とアウトソーシング
 SNSクラウドファンディングを活動利用したボトムアップ型の改革などの部活動の複線化とアウトソーシングが必要。
 部活動改革に向けて、学校は積極的には動いていない。後ろ向きなる理由がある。そこを改善しないと問題はいつまでも解決しない。
 財源については、週3日の活動で4千8百円の徴収しているが、この金額は1つの目安になるだろう。
 全国には、12万の部活があり、それを維持するためには、現有の教員兼業は必須であり、制度改革、意識改革は急務である。

※長沼先生主催のオンライン研究会があります。
「第9回部活動のあり方を考えるミニ研究集会(オンライン)」(部活動の地域展開を考える ~経済産業省の第一次提言を読み解く~)
日時:8月29日(日)18時~20時
・お申し込み
https://kokucheese.com/event/index/614970/

部活動指導者の輪を全国に広げて有効な人材活用の仕組み作りへ

このコロナ禍で見えた職能団体の人材有効活用のための役割で考えたことがあります。

連日の報道でも明らかですが、このコロナ禍において、最も重要な社会問題の1つとして取り上げられているのが、医療逼迫の問題です。

現有の日本の医療人材、医療施設の量的な問題とは別に、コロナ患者の方々に対する十分な医療体制が維持出来ないという問題が確かにあります。

この問題のネックになっているのが、医療人材の確保です。大きな原因の1つに、医療系の職能団体が、このコロナ禍における医療体制を維持するための人材確保に十分機能していないという部分があるのではないでしょうか。

職能団体とは、専門的な技能をはじめ、関係の法律や医療知識を持った人材育成やその能力を適切に広く社会に機能させるための活動をする団体です。

つまり、医療体制のなかで重要な役割を果たしている職能団体である医師会や看護師協会が、人的な医療資源の配分に積極的に対応出来たなら、一部の医療関係者に過酷な勤務が偏ることは起きなかったのではと思うのです。

実は、部活動制度においても、このような人材配置の根詰まり現象が、多くの問題を引き起こしており、例えば部活動指導者の職能団体があり、全国的な規模で機能すれば、多くの問題を効果的に改善の方向に向かわせることが出来る気がします。

部活動の人材確保、研修確保、人件費確保、この3つの問題解決に、部活動指導者のための職能団体の設立が貢献すると思っています。

この日本において、医療関係者も重要な社会的役割を果たしていますが、部活動指導者についても、その規模や役割の大きさを考えると、やはり、部活動指導者の職能団体は必要だと考えます。

当協会は、部活動指導者の輪を全国に広げる役割に貢献出来ればと思っています。

部活動指導員検定による認定資格の信頼度

部活動指導員検定を実施し、資格認定を始めて1年が過ぎました。

この間、当協会主催の検定試験によってたくさんの部活動指導者の方々が部活動指導員として認定されました。

そして、よく当協会の認定資格について、その有効性について問い合わせを頂きます。

まず、当協会は、全国規模で部活動指導者の資格認定と名簿登載を行っている先駆けの団体となりますが、この新しい資格について、今後その価値を高めるためには、ここまで試験に合格、認定をされた皆さんの指導の質や法令遵守に対する意識が重要な要素になります。

つまり、これから認定を受ける部活動指導者の皆さんを含め、この部活研のオンライン講習や教本で得た知識を有効活用して、質の高い部活動指導を実践して頂くことが、何より大切なことです。

資格認定をされた部活動指導者としての自覚と向上心は、ひいては生徒が生き生き参加出来る部活動の実現に必ず繋がるものです。

日々、自治体や学校関係者への認知度は確実に広がっていますが、協会としても、部活動指導員検定の社会的な信頼度や資格の有効性を高めるために、今後も様々な働きかけを行って参ります。よろしくお願い致します。