部活指導研究協会通信

日々、生徒と真剣に向かい合う部活関係者に送ります。部活動が果たすことの出来る役割を最大限に発揮させるための活動を行っています。

10月22日部活動指導者研修会のご報告

10月22日、東京都立三田高校の会議室をお借りして、秋の部活研主催の部活動指導員研修会を開催致しました。
今回もたくさんの方に参加頂き、盛況のうちに終えることが出来ました。

第1部は、ココロックル代表、谷野隆太氏のスポーツメンタルの講習。
第2部は、部活研の代表、中屋よる文科省ガイドラインの解説
第3部は、学習院大学教授で部活動学会の会長でもある長沼豊氏による部活動の今後の展望などの講習。

ここでは、第1部の(株)ココロックル代表の谷野隆太氏の講習について、紹介してみたいと思います。内容は、スポーツ心理学に基づいた指導方法についてでした。

<「考え方」と「行動」を変える>
ロシアの研究で、歴代のメダリストの行動と考え方の特徴を日常生活から練習中まで、あらゆる場面について観察し、まとめた報告書があったそうです。

その報告書をもとに、これからオリンピックを目指す選手たちに、「考え方」と「行動」を変えるプログラムを作り、指導をしたのです。その結果、95%の選手のパフォーマンスが上がったとのこと。

つまり、「考え方」と「行動」を納得させて、変えるプログラムがあれば、自然にパフォーマンスは上がるということです。

「考え方」と「行動」の研究、これこそが心理学で、この心理学を日本のスポーツ界では、まだまだ重視されて
いない。管理される側には、心理学は必要ない。だから、管理することが中心にある日本のスポーツ界には、心理学を取り入れた指導が根付きにくいのではと、谷野氏はおっしゃっていました。

<外発的理解と内発的理解>
その結果、外発的理解と内発的理解の2つの理解のうち、外発的理解によって結果を出そうという指導者が多いのが現状になります。

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外発的理解とは、外からの刺激や強制で形成される理解で、体罰、暴言、パワハラなどが理解させる手段として
使われることが多いです。効果は、即効性があるが、長続きしない、あるいは、刺激がなくなると効果がなくなる指導法とも言われています。

全国大会を目指した場合、内発的理解によるやる気でも外発的理解によるやる気でも、実現の実績はあるそうです。ただその後のスポーツの関わり方に大きな差が出ます。好きなスポーツとその後の人生でどう関われるか、その点を考えた場合、強制や刺激を与えてやる気を起こす、外発的理解に基づいた指導は避けるべきなのです。

内発的理解をもとにやる気を出すには、どうればいいのか。まず、選手の考えを尊重し、うまく引き出す工夫が必要になります。

例えば、それぞれがチームの目標と個人の目標を設定し、それぞれの目標に到達するために必要なことを考えさせるとか、フォーカスすべき点や計画を立てるプロセスをアドバイスしながら、生徒同士で意見交換させる方法もあります。

谷野氏の講習では、たくさんの実践例を示して頂き、たいへん有意義な講習でした。
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